人間関係の喜び

幸せの基盤は喜ばしい人間関係にあることを

虐待されて生きる不幸

「この手であなたを
 殺してやりたかった。
 地獄で火に焼かれ、
 苦しむがいいわ」
このセリフは、スペインのTVドラマ、
「イサベル」のワンシーンです。

私は、「恨みの強さ」ということを、
考えてしまいました。

場面は、ポルトガルジョアン2世が、
臨終の間際なんですけど、
皇太子マヌエルとその母が、
危篤状態の国王の寝室に、
二人で入ってくるシーンで始まります。

皇太子と言っても、マヌエルは、
国王の実子ではなく、王族の一人です。
そうなった複雑な事情は省略しますが、
寝室にはすでに何人か、人々がいます。

その場面で、
国王はマヌエルとその母に言います。
「すまない。
 おまえたち一族を虐げてきた。
 どうか慈悲の心で、
 私を天へ送って欲しい」

その言葉を聞いて、
マヌエルの母が言います。
「誰が許すものですか!」

次に、息子のマヌエルに言います。
「この男は、
 あなたの兄を殺したわ。」

あの、「王様は」 ・ ・ ・ でなく、
「この男は」と言ってますから、
その憎しみの強さがわかると思います。

そして、今、死にゆく国王に言います。
「よく聞きなさい。」

そして、次に発する言葉が、
「この手であなたを
 殺してやりたかった」
というところからの、上記の言葉です。

今、死のうとしている国王、しかも、
「すまない」と詫びている人に対して、
付き添う臣下たち前で言うのですから、
これはすごいと思いました。

・ ・ ・ 思いましたが、それは、
彼女の心情を、
「包み隠さず、正直に言った」もので、
その態度を、私は非難しません。

非難しないというより、
それまでひどいめにあわされてきた、
彼女の苦しい人生を思ったことでした。

そして、虐待され続けて生きることは、
どんなことなのかということを、
考える機会になりました。

そして、その、
とてつもない不幸を思いました。